南大沢コミュニティオペラ
ニューイヤーコンサート2014


ヴェルディ作曲
椿 姫 ハイライト

●○● 解説・あらすじ ●○●

ジュゼッペ・ヴェルディ(1813〜1901)は内縁の妻ジュゼッピーナ・ストレッポーニ(1815〜1897)と共に、1852年の2月にパリのヴォードヴィル座で、初演中のアレクサンドル・デュマ・フィス(1824〜1895)の芝居『椿姫』を観て感動し、オペラ化を決意する。
ヴェルディは当時、ローマで上演予定の『トロヴァトーレ』の作曲中だったが、前年の『リゴレット』初演の大成功に味をしめたヴェネツィアのフェニーチェ座から、翌年の春に上演する新作を依頼された。早速そこに『椿姫』を当てる事にし、同座の舞台監督であった台本作家フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ(1810〜1876)に台本を依頼したヴェルディは、台本の出来上がる以前から、前奏曲の作曲を始めるほど身を入れ、1853年1月に台本が送られて来てから4週間あまりで作曲を完成。『トロヴァトーレ』の初演から2ヶ月も経たない3月6日にフェニーチェ座で初演された。初演時は歌手の問題等で大失敗に終わったが、作品の力を信じていたヴェルディは5箇所ほど修正を施して時を待ち、11ヶ月後に同じヴェネツィアのテアトロ・ガルロで優れた歌手を揃えて再演し大成功を収め、次々にイタリア各地で上演されて大評判を得る事となった。


舞台は1840年頃のパリ


第1幕

高級娼婦のヴィオレッタ・ヴィレリーはパリの社交界の花形であった。そのサロンで行われているパーティーは今やたけなわ。愛想を振りまいているヴィオレッタにアルフレード・ジェルモンが紹介される。ヴィオレッタの熱烈なファンというこの青年に対し、ライバル心を燃やすヴィオレッタのパトロン、ドゥフォール男爵。アルフレードは愛の力に乾杯を捧げ、ヴィオレッタはそれに応えて、快楽・悦楽を謳歌する。
ダンスが始まり、人々は大広間に向かが、ヴィオレッタは目眩がしてそのまま倒れ込む。そこに突如アルフレードが現れ、心から愛を歌う。打算的な愛しか知らないヴィオレッタは、アルフレードの無私無欲の情熱的な愛の告白に驚くと同時に当惑を覚え、その愛に友情でしか答えられない自分を早く忘れた方がいいと言って軽く受け流す。しかし胸に付けていた椿の花を渡し花が枯れた時、再び会いに来ても構わないという。これは明日の再会の約束、アルフレードはそうとり喜んでその場を去る。ヴィオレッタは真実の愛に身も心も委ねたい気持ちはあるがその想いの高まりを恐れ、くだらない一瞬の気の迷いだと片付け、愛への想いをすべて打ち消そうとする。アルフレードの声が遠くから聞こえ一瞬迷いが生じるが、この快楽と贅沢の限りを尽くした生活を捨てる事ができないと、自分に言い聞かせる。


第2幕

数ヶ月後、二人はパリ郊外の別荘で静かに暮らしている。アルフレードは愛するヴィオレッタとの生活を心より喜んでいるが、女中アンニーナから、ヴィオレッタが二人の気ままな生活を支える為にパリの財産を少しずつ処分していると聞かされ、ショックを受ける。自分の浅はかさを恥じ、激しい自責の念に駆られながらアルフレードは事態を打開すべく、パリへ発つ。
友人のフローラの仮装舞踏会への招待状が届くが、ヴィオレッタは関心がない。訪問客が見えたと聞き、女中に通すように言う。そこに現れたのは驚いた事にアルフレードの父、ジョルジョ・ジェルモン。息子が娼婦に財産を貢ごうとしていると思い込んでいるジェルモンは、激しくヴィオレッタを非難する。しかしヴィオレッタはアルフレードに金銭的な迷惑をかけていないと証明する。ジェルモンは息子と別れるよう頼むが、一時的な別れ話と思いきや、そうでないと知ったヴィオレッタはショックを受ける。ジェルモンはヴィオレッタが不義の生活をしている事を指摘し、その美しさが段々と色褪せるにつれ、息子の彼女に対する愛情もなくなるであろうと言う。ジェルモンはヴィオレッタの悲しむ姿に同情するが、アルフレードを諦めさせる事を約束する。ヴィオレッタはフローラに舞踏会に出席する旨の返事を書き、アルフレードへの別れの手紙をしたためる。この時、アルフレードが帰宅、父親がこれから訪ねてくる事を伝える。ヴィオレッタはひどく取り乱しており、泣いたり笑ったりしながらアルフレードの胸に飛び込み、変わらぬ愛を誓った後、部屋から急いで出て行く。出て行った後、使いがやってきて別れの手紙をアルフレードに渡す。アルフレードはあまりの展開に茫然とし、テーブルの上にあった招待状を見つけ、不実な女と決め付けヴィオレッタの後を追う。
フローラの家に客が次々と到着、ヴィオレッタとアルフレードが別れたという噂が広まる中、アルフレードが現れ、他の客に混じる。ヴィオレッタの事を聞かれても肩をすくめるだけで賭博を始める。ヴィオレッタはドゥフォール男爵と連れだって入ってくる。男爵はアルフレードと同じ賭博の席につき、大損をする。二人の間の険悪なムードがこれ以上ひどくならないうちに、舞踏会場の方に人が移る。
アルフレードは戻ってきたヴィオレッタのあとを追って入ってくる。ヴィオレッタはアルフレードに男爵と喧嘩になる前に帰ってくれと頼む。パトロンの心配をしているのだろうといった皮肉を言いつつ、一緒に来るのなら帰ってもいいと言う。ヴィオレッタは承諾せず、アルフレードはヴィオレッタに男爵を愛しているのだと無理矢理言わせる。アルフレードは客を集め、ヴィオレッタが自分の財産を注ぎ込んだ事を告げ、楽しませてもらった礼だと言って賭けで勝った金を足元に投げつける。周りの人々は憤慨し、ヴィオレッタは気を失ったままフローラの腕に倒れ込む。そこへジェルモンが現れ、息子のとった行動を非難する。男爵はアルフレードに決闘を申し込むが、彼はすでに自分の嫉妬深さを後悔している。ヴィオレッタは気がつくが、愛するアルフレードに本心を打ち明けられない事を嘆き、いつか許してもらえる事を願う。


第3幕

パリにあるヴィオレッタのアパート。病の床に伏しているヴィオレッタをアンニーナが看病している。医師はじきに治ると言ってヴィオレッタを慰めるが、アンニーナには本当の事を打ち明ける。あと数時間の命だというのだ。部屋の外で繰り広げられるカーニバルのにぎわいを聞きながら、ヴィオレッタは自分の死を予感している。アルフレードの父からの手紙によると、アルフレードは決闘で男爵に怪我を負わせ、しばらくの間外国に身を置かなければならなかったが、息子にはすべてを打ち明け、二人でヴィオレッタの元に謝罪に行くというのである。しかし鏡を見れば、もはや希望をもつには遅すぎた。ヴィオレッタにとってあの楽しかった日々は過ぎし日の遠い夢であった。そこへアルフレードが部屋に急いで入ってきてヴィオレッタの胸に顔を埋める。二人は束の間、絶望的な状況を忘れ、一緒の幸せを夢見る。生きていたいという想いがヴィオレッタを襲うが、ベッドから起き上がる力もない。ヴィオレッタは最後に自分の写真を入れたロケットをアルフレードに差し出し、いつかまた愛する女性が現れた時、二人の幸せを願う人からのプレゼントだと言ってその人に渡して欲しいと言う。ヴィオレッタは突然奇跡的に痛みを忘れ、ベッドから起き上がる。一瞬希望が心を横切るが、それを最後にアルフレードの胸の中に息絶える。
 公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団 音楽アドバイザー 中山 博之
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